✔ この記事でわかること
- 新規事業でアジャイル開発が向いている理由とウォーターフォール開発との具体的な違い
- アジャイル開発の5つのステップと実践的な進め方(ビジョン設定からリリース・改善まで)
- 開発を成功させるための4つのポイントと失敗しないための注意点
- 適切な開発パートナーを選ぶ際に確認すべき3つの条件
新規事業の立ち上げにおいて、「アジャイル開発」という言葉を耳にする機会が増えています。しかし、「具体的にどう進めればいいのか」「ウォーターフォール開発とどう違うのか」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
Wurでは創業以来、50社以上の新規事業を一気通貫で支援してきました。その現場で見えてきたのは、新規事業の成功には「仮説検証を繰り返しながら最適解を探る」というアジャイル的なアプローチが不可欠だということです。
この記事では、新規事業におけるアジャイル開発のメリットや具体的な進め方、失敗しないための注意点を、Wurの実践知を交えて解説します。
新規事業におけるアジャイル開発とは
アジャイル開発の基本概念
アジャイル開発とは、開発を小さな単位(イテレーション)に区切り、短期間でリリースとフィードバックを繰り返しながら、プロダクトを改善していく開発手法です。
従来のウォーターフォール開発が「要件定義→設計→開発→テスト→リリース」という一方向のプロセスであるのに対し、アジャイル開発は「計画→開発→テスト→リリース→振り返り」のサイクルを何度も回します。
この手法が生まれた背景には、「最初に完璧な仕様を決めることは不可能」「市場や顧客のニーズは変化する」という前提があります。だからこそ、柔軟に変更できる体制を整えることが重要なのです。
なぜ新規事業にアジャイル開発が向いているのか
新規事業の最大の特徴は「正解がわからない」ことです。既存事業であれば過去のデータや成功パターンを参考にできますが、新規事業では「このアイデアが本当に顧客に受け入れられるか」「どの機能が最も価値を生むか」がわかりません。
Wurに相談に来るクライアントの中でも、「最初から完璧なシステムを作ろうとして、莫大な開発費をかけたのに、いざリリースしたら誰も使わなかった」という失敗例は少なくありません。
アジャイル開発であれば、最小限の機能でまずリリースし、実際のユーザーの反応を見ながら改善していくことができます。つまり、「失敗のコストを最小限に抑えながら、成功の確率を高める」ことが可能になるのです。
アジャイル開発と他の開発手法との違い
ウォーターフォール開発との比較
ウォーターフォール開発は、最初にすべての要件を確定させ、計画通りに進めていく手法です。建設業のように「設計図通りに作れば成功する」分野には向いていますが、新規事業のような不確実性の高い領域では、以下のようなリスクがあります。
- 要件の固定化:最初に決めた仕様が後から変更しづらい
- リリースまでの時間:すべての機能が完成するまでリリースできない
- フィードバックの遅れ:実際のユーザーの声を聞けるのが開発の最後
一方、アジャイル開発では:
- 柔軟な要件変更:ユーザーの反応を見ながら優先順位を変えられる
- 早期リリース:最小限の機能でまず市場に出せる
- 継続的な改善:リリース後もフィードバックをもとに改善を続けられる
Wurの現場でも、「当初想定していた機能よりも、実際にユーザーが求めていたのは別の機能だった」というケースは頻繁にあります。だからこそ、途中で軌道修正できるアジャイル開発が新規事業には適しているのです。
MVP開発との関係性
MVP(Minimum Viable Product)開発とは、顧客に価値を提供できる最小限のプロダクトを作る考え方です。アジャイル開発とMVP開発は、実は非常に相性が良い関係にあります。
MVPでは「バーニングニーズ」、つまり顧客が頭に火がついたように解決したい課題を特定し、それを解決する最小限の機能だけを開発します。そして、アジャイル開発のサイクルを回しながら、仮説検証を繰り返し、PSF(Problem Solution Fit)からPMF(Product-Market Fit)を目指していくのです。新規事業のPMF達成に必要な5ステップ|現場視点で解説では、PMFに向けた具体的なプロセスを解説しています。
Wurでは期間2ヶ月〜・費用337.5万円〜のMVP開発支援を行っていますが、ここでもアジャイル的なアプローチを採用しています。最初から完璧を目指すのではなく、「まず小さく始めて、データをもとに改善する」という流れが、新規事業の成功確率を高めるのです。
新規事業でアジャイル開発を採用するメリット
1. 仮説検証のスピードが上がる
新規事業の初期段階では、「この機能は本当に必要か」「この価格設定で売れるか」といった仮説だらけです。アジャイル開発であれば、短期間で機能をリリースし、実際のユーザーの反応をデータとして取得できます。新規事業のPoC(概念実証)を成功させる進め方については新規事業のPoC(概念実証)を成功させる進め方|現場で見た失敗パターンと対策で詳しく解説しています。
たとえば、Wurが支援したあるクライアントでは、当初「会員登録機能」を最優先で実装する予定でした。しかし、MVP版をリリースしたところ、ユーザーは「会員登録なしで即座に使える」ことを強く求めていることが判明しました。この気づきがあったからこそ、リソースを正しい機能開発に振り向けられたのです。
2. 開発コストを最適化できる
ウォーターフォール開発では、すべての機能を最初から作り込むため、初期費用が高額になりがちです。しかし、実際にリリースしてみると「ほとんど使われない機能」も多く、結果として無駄なコストになってしまいます。
アジャイル開発では、優先順位の高い機能から順次リリースしていくため、「本当に必要な機能」にリソースを集中できます。また、途中で予算が厳しくなった場合も、既にリリースした部分は価値を生んでいるため、損失を最小限に抑えられるのです。
3. 市場変化に柔軟に対応できる
新規事業を進めていると、競合の出現や市場環境の変化など、想定外の事態が頻繁に起こります。アジャイル開発であれば、次のイテレーションで優先順位を変更し、新たな戦略に対応することが可能です。
Wurでは、あるクライアントの開発中に大手企業が類似サービスをリリースしたケースがありました。もしウォーターフォール開発だったら、すでに決まった仕様を変更することは困難でした。しかし、アジャイル開発だったため、差別化ポイントを再定義し、次のスプリントで機能を調整することができたのです。
4. チームの学習サイクルが回る
アジャイル開発では、各イテレーションの最後に「振り返り(レトロスペクティブ)」を行います。ここで「何がうまくいったか」「何を改善すべきか」をチーム全体で共有することで、開発プロセス自体が進化していきます。
新規事業では、エンジニアだけでなく、事業責任者やマーケティング担当も含めた全員が「学びながら進む」姿勢が重要です。アジャイル開発のサイクルは、チーム全体の成長を加速させる仕組みでもあるのです。
新規事業におけるアジャイル開発の進め方
STEP1:ビジョンとゴールの設定
アジャイル開発は「柔軟」ですが、「何でもあり」ではありません。最初に「このプロダクトで何を実現したいのか」「誰のどんな課題を解決するのか」というビジョンを明確にすることが重要です。新規事業の構想段階では、【現場視点で解説】新規事業の事業計画書の書き方|投資家・社内稟議を通すポイントも参考になります。
Wurでは、クライアントヒアリングとユーザーインタビューを通じて、バーニングニーズを特定します。ここで見つけた「本当に解決すべき課題」が、その後のすべての開発の軸になります。
STEP2:バックログの作成と優先順位付け
バックログとは、「実装したい機能や改善項目のリスト」のことです。アジャイル開発では、このバックログに対して常に優先順位をつけ、最も価値の高いものから着手していきます。
優先順位をつける際のポイントは以下の通りです。
- ユーザー価値の高さ:その機能がユーザーにどれだけの価値を提供するか
- 実装コストの低さ:開発に必要な時間やリソース
- リスクの大きさ:技術的な難易度や不確実性
Wurでは、プロダクトオーナー(事業責任者)とエンジニアが一緒にバックログを整理し、「今のフェーズで本当に必要な機能」を見極めていきます。
STEP3:スプリント計画と開発
スプリントとは、アジャイル開発における1つの開発サイクルのことで、通常1〜4週間程度の期間で設定します。
各スプリントでは、以下の流れで進めます。
- スプリント計画:今回のスプリントで何を実装するかを決定
- デイリースタンドアップ:毎日15分程度、進捗と課題を共有
- 開発・テスト:決めた機能を実装し、テストを行う
- スプリントレビュー:完成した機能をステークホルダーに共有
- レトロスペクティブ:今回のスプリントの振り返りと改善点の議論
このサイクルを繰り返すことで、着実に価値を積み上げていくことができます。
STEP4:リリースとフィードバック収集
アジャイル開発の最大の特徴は、「完璧でなくてもまずリリースする」ことです。最小限の機能でリリースし、実際のユーザーからフィードバックを集めます。
フィードバックの収集方法としては:
- ユーザーインタビュー:直接話を聞き、課題や要望を深掘りする
- アクセス解析:どの機能がよく使われているか、どこで離脱しているかを数値で把握
- NPS(Net Promoter Score):ユーザーの満足度や推奨度を測定
Wurの現場では、リリース直後の1〜2週間は集中的にユーザーの声を集め、次のスプリントの優先順位に反映させています。
STEP5:継続的な改善とスケール
フィードバックをもとに、バックログを更新し、次のスプリントで改善を実装します。このサイクルを繰り返すことで、プロダクトは徐々に「本当に求められている形」へと進化していきます。
PSF(課題と解決策が合っている状態)が確認できたら、次はPMF(市場に受け入れられる状態)を目指します。そして、PMFが見えてきた段階で、マーケティングやセールスにリソースを投入し、事業をスケールさせていくのです。
新規事業でアジャイル開発を成功させるポイント
事業責任者が開発に深く関わる
アジャイル開発では、「プロダクトオーナー」と呼ばれる役割が非常に重要です。この役割は通常、事業責任者が担います。
プロダクトオーナーの主な責務は:
- バックログの優先順位付け:何を作るべきかを決める
- ビジョンの共有:チーム全体に方向性を示す
- ステークホルダーとの調整:経営陣や投資家への説明責任
Wurに相談に来るクライアントの中には、「開発は外注だから任せきり」という姿勢の方もいらっしゃいます。しかし、それでは新規事業は成功しません。事業責任者自身が、週に数回は開発チームとコミュニケーションを取り、方向性を調整していくことが不可欠です。
エンジニアと事業側の信頼関係を築く
アジャイル開発は、エンジニアと事業側が「対立」するのではなく、「協力」する文化が前提です。
よくある失敗例として、事業側が「この機能を今週中に実装してほしい」と無理な要求をし、エンジニア側が疲弊してしまうケースがあります。逆に、エンジニアが技術的な興味だけで開発を進め、ユーザー価値を見失うこともあります。
Wurでは、日本人PMがクライアントと開発チームの間に入り、双方の視点を調整しながら進めています。信頼関係があるからこそ、「今は品質を優先すべき」「ここはスピード重視で進めよう」といった柔軟な判断ができるのです。
「完璧主義」を捨てる勇気を持つ
新規事業において、「完璧なプロダクト」は存在しません。むしろ、完璧を目指すあまりリリースが遅れ、市場機会を逃してしまうリスクの方が大きいのです。
アジャイル開発では、「Done is better than perfect(完璧よりも完了が大事)」という考え方を大切にします。最初のリリースは「恥ずかしい」と感じるくらいシンプルで構いません。大切なのは、「実際のユーザーに使ってもらい、学びを得る」ことです。
Wurが支援したあるクライアントは、MVP版をリリースした際、デザインも機能も最小限でした。しかし、その「シンプルさ」が逆にユーザーに受け入れられ、利用継続率99%という驚異的な数字を達成しました。完璧を目指して遅れるよりも、小さく始めて改善する方が、結果的に成功に近づくのです。
データドリブンな意思決定を徹底する
アジャイル開発では、「感覚」や「思い込み」ではなく、「データ」をもとに意思決定を行います。
- ユーザーの行動データ:どの機能が使われているか
- 定性的なフィードバック:ユーザーインタビューで得た生の声
- ビジネス指標:コンバージョン率、解約率、LTVなど
これらのデータを定期的に見直し、「次のスプリントで何を優先すべきか」を判断していきます。Wurでは、クライアントと一緒にダッシュボードを整備し、常に数値で事業の状態を把握できる体制を作っています。
新規事業でアジャイル開発を導入する際の注意点
スコープクリープに注意する
アジャイル開発は柔軟である分、「あれもこれも」と機能が際限なく増えてしまうリスクがあります。これを「スコープクリープ」と呼びます。
対策としては:
- MVPのスコープを明確にする:最初に「これだけは外せない」機能を定義
- バックログの定期的な見直し:本当に必要な機能かを常に問い直す
- Done(完了)の定義を明確にする:どの状態になれば完成とするかを事前に決めておく
Wurでは、クライアントと一緒に「MVP完了の定義」を最初に決め、そこに向かって最短ルートを進むことを徹底しています。
コミュニケーションコストを過小評価しない
アジャイル開発では、頻繁なコミュニケーションが必要です。デイリースタンドアップ、スプリントレビュー、レトロスペクティブなど、ミーティングの機会も増えます。
これを「無駄」と感じる方もいますが、実はこのコミュニケーションこそが、認識のズレを防ぎ、チームの一体感を生む重要な要素です。
特に、オフショア開発を活用する場合は、時差や言語の壁もあるため、コミュニケーション設計が成否を分けます。Wurでは、日本人PMを配置し、日次でのコミュニケーションを確保することで、品質とスピードを両立させています。
技術的負債を溜め込まない
「スピード重視」のアジャイル開発では、ついつい「とりあえず動けばいい」というコードを書いてしまいがちです。しかし、この「技術的負債」が溜まると、後から修正するコストが膨大になります。
対策としては:
- コードレビューの徹底:他のエンジニアがチェックする体制
- リファクタリングの時間を確保:スプリントの一部を改善に充てる
- テストの自動化:バグを早期に発見できる仕組み
Wurでは、日本人エンジニアが必ずシステム設計とコードレビューを担当し、品質を担保しています。スピードと品質は、適切な体制があれば両立できるのです。
組織文化との相性を見極める
アジャイル開発は、「変化を受け入れる」「失敗から学ぶ」という文化が前提です。しかし、組織によっては「計画通りに進めることが正義」「失敗は許されない」という文化が根強い場合もあります。
そのような組織でいきなりアジャイル開発を導入しても、現場が混乱してしまいます。まずは小さなプロジェクトで試験的に導入し、成功体験を積み重ねることで、徐々に組織文化を変えていくアプローチが有効です。
アジャイル開発を支える開発パートナーの選び方
新規事業でアジャイル開発を成功させるには、適切な開発パートナーの選定が重要です。新規事業の開発会社の選び方|失敗しない5つのポイントでは、パートナー選定の具体的な基準について解説しています。
ビジネス理解があるか
アジャイル開発では、エンジニアが「何を作るか」にも関わります。そのため、単に技術力があるだけでなく、ビジネス視点で提案できるパートナーが理想です。
Wurでは、ビジネス設計フェーズからクライアントと一緒に事業戦略を練り、「本当に必要な機能は何か」を見極めてから開発に入ります。この上流工程でのビジネス理解があるからこそ、開発フェーズでも的確な判断ができるのです。
柔軟な契約形態に対応できるか
アジャイル開発では、途中で仕様が変わることが前提です。そのため、固定スコープの一括請負契約よりも、ラボ型(準委任)契約の方が適しています。特に社内にCTOや開発リソースがない場合、外部パートナーとの柔軟な契約体制が重要になります。スタートアップにCTOがいない時の開発戦略|外部パートナー活用のリアルでは、開発体制の構築について詳しく解説しています。
ラボ型契約であれば、毎月の予算内で優先順位を調整しながら開発を進められます。Wurでは、ラボ型契約を基本としており、クライアントの状況に応じて柔軟にリソースを調整できる体制を整えています。
継続的な伴走支援ができるか
新規事業は、MVP開発で終わりではありません。リリース後のグロースハック、機能追加、スケール支援まで、継続的なパートナーシップが必要です。
Wurでは、開発だけでなく、グロースハック支援まで一気通貫で対応しています。事業の成長フェーズに合わせて、必要な支援を柔軟に提供できることが、Wurの強みです。
まとめ
新規事業におけるアジャイル開発は、「不確実性の中で最適解を探る」ための強力な手法です。
従来のウォーターフォール開発のように「最初に完璧な計画を立てる」のではなく、「小さく始めて、データをもとに改善を繰り返す」アプローチが、新規事業の成功確率を高めます。
アジャイル開発を成功させるポイントは以下の通りです。
- 事業責任者が開発に深く関わる:プロダクトオーナーとしての責任を持つ
- バーニングニーズを特定する:本当に解決すべき課題を見極める
- 完璧主義を捨てる:小さくリリースして学ぶことを優先する
- データドリブンな意思決定:感覚ではなく数値で判断する
- 適切な開発パートナーを選ぶ:ビジネス理解があり、柔軟に伴走できる会社を選ぶ
Wurでは、創業以来、50社以上の新規事業をアジャイル開発で支援してきました。ビジネス設計からMVP開発、グロースハックまで一気通貫で対応できる体制が、Wurの強みです。
「新規事業を立ち上げたいが、何から始めればいいかわからない」
「過去に開発で失敗した経験があり、次は慎重に進めたい」
そんな方は、ぜひ一度Wurにご相談ください。あなたの事業アイデアを、確実に形にするお手伝いをいたします。
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シリコンバレー留学をきっかけにIT業界へ。エンジニアとしてキャリアを積んだ後、大手企業の新規事業開発・スタートアップCTOを経てWur株式会社を創業。「人々の日常に、心躍る体験を。」をミッションに、新規ビジネスの立ち上げを一気通貫で支援している。エアトリグループ傘下として、国内外の豊富なネットワークを活かしたサービス開発を手掛ける。



