システム保守費用の相場を徹底解説|内訳と費用を抑えるコツ

この記事に出てくる専門用語
- 保守運用(Maintenance & Operation):システムをリリースした後に、正常に動き続けるよう点検・修正・更新を続ける作業のこと。
- SLA(Service Level Agreement):「障害が起きたら何時間以内に対応する」など、保守会社が約束するサービス品質の水準を定めた契約のこと。
- 技術的負債(Technical Debt):開発を急いだ結果、後から手直しが必要になる設計上の課題やコードの粗さのこと。放置すると保守コストが膨らみやすい。
- レガシーシステム:古い技術や仕組みで作られ、改修や引き継ぎが難しくなっているシステムのこと。
- ラボ型契約(準委任契約):成果物ではなく「稼働時間・チーム体制」に対して契約する開発形態。保守のように継続的な対応が必要な業務と相性がいい。
システム開発が終わってひと安心、と思ったら「保守費用って結局いくらかかるの?」と疑問に感じた方は多いのではないでしょうか。システム保守費用の相場は、開発形態やシステムの複雑さによって大きく変わるため、一律の金額で語るのが難しい領域です。この記事では、システム保守費用の相場感と内訳、費用が膨らみやすいケース、そして費用を抑えるための考え方を、開発に詳しくない方にもわかるように整理していきます。
システム保守費用の相場感をつかむ
月額保守費用の目安
システム開発業界では、保守費用の目安として「初期開発費の年間5〜15%程度」という考え方がよく使われます。たとえば開発費が1,000万円のシステムであれば、年間50万〜150万円、月額にすると4万〜12万円程度が一つの目安になるイメージです。ただしこれはあくまで一般的な目安であり、システムの規模や利用者数、求められる対応スピードによって上下します。単純にこの数字だけを鵜呑みにせず、「自社のシステムはどの要素で費用が変わるのか」を理解しておくことが大切です。
保守費用が変動する主な要因
| 要因 | 費用への影響 |
|---|---|
| システムの規模・複雑さ | 機能が多く外部サービスと連携しているほど、点検箇所が増えて費用が上がりやすい |
| 利用者数・アクセス数 | 利用者が多いほどサーバー負荷が高まり、監視や増強の手間が増える |
| 求められる対応スピード | 即日対応か翌営業日対応かで、保守会社側の人員体制が変わる |
| 開発時の設計品質 | 技術的負債(後述)が多いシステムほど、修正に時間がかかり費用がかさむ |
これらの要素を組み合わせて、保守会社は見積もりを出しています。だからこそ「相場はいくらですか」という質問には、「あなたのシステムの場合は」という前提をセットで確認する必要があります。
開発体制の違いが保守コストに与える影響
保守費用は、誰がどこで開発・保守を担当するかという体制によっても変わります。たとえばWurでは、ベトナム・ハノイ工科大学出身者を中心とした開発チームが実装を担い、日本人エンジニアが必ずシステム設計とコードレビューを担当する体制をとっています。この体制によって、開発・保守にかかるコストは国内開発の約1/2程度に抑えられるケースがあります。もちろん保守費用そのものがそのまま半額になると断定はできませんが、人件費の構造が違うことが、継続的な保守コストの抑制につながり得るという点は、保守パートナーを選ぶ際の一つの判断材料になるでしょう。
システム保守費用の内訳
システム保守費用は、大きく分けて次の4つの作業に対して発生します。
| 作業分類 | 内容 | 費用に影響する点 |
|---|---|---|
| 障害対応・インシデント対応 | システム停止やエラー発生時の原因調査・復旧 | 24時間対応や休日対応を求めるほど費用は上がりやすい |
| 定期アップデート・セキュリティ対応 | OSやミドルウェアのバージョンアップ、脆弱性対応 | 怠るとレガシーシステム化のリスクが高まる |
| サーバー・インフラ管理 | クラウド環境の設定変更、リソース監視、バックアップ管理 | アクセス急増時のサーバー増強もここに含まれる |
| 問い合わせ・軽微な仕様変更対応 | 表示項目の追加など小さな要望への対応 | 保守範囲に含まれるか契約時に明確にしておく必要がある |
特に最後の「軽微な仕様変更対応」は、契約時にどこまでが保守範囲かを曖昧にしたまま進めると、後から「これは追加費用です」と言われてトラブルになるケースもあります。契約前に対応範囲を確認しておくと安心です。
保守費用が高額になりやすいケース
レガシーシステム・技術的負債を抱えている場合
開発を急いだ結果、設計が複雑になり、後から修正しづらくなった状態を技術的負債と呼びます。技術的負債が積み重なったシステムは、ちょっとした修正でも影響範囲の調査に時間がかかり、結果として保守費用が高くなりがちです。Wurの相談現場でも、「以前作ったシステムの改修に、想定の3倍以上の見積もりが出た」という声を聞くことがあります。これは決して珍しいケースではありません。
属人化した開発体制
特定の担当者しか仕様を把握していない状態で開発が進むと、その担当者が抜けた途端に保守がブラックボックス化してしまいます。ドキュメントが整備されていないシステムほど、引き継ぎコストが保守費用に上乗せされやすい点も見落とされがちです。Wurが取り組んできたAI活用・業務効率化の支援でも、製造業における見積作成業務や、物流・運送業のコールセンター対応、卸・販売業の帳票作成業務など、紙やExcel、特定の担当者の経験に頼っていた業務ほど、後から仕組み化・自動化するコストが膨らみやすい傾向が見られます。保守の世界でも構造は同じで、属人化を放置した期間が長いほど、立て直しにかかる費用は大きくなりがちです。
SLAと保守費用の関係
SLA(Service Level Agreement)とは、保守会社が「障害発生から何時間以内に一次対応する」「稼働率を99.9%以上に保つ」など、提供するサービスの品質水準を約束する取り決めのことです。SLAの水準が高くなるほど、それを維持するための人員や監視体制のコストも増えるため、保守費用に直結します。「とにかく安く保守したい」という要望だけで契約すると、いざという時にSLAが緩く、対応が遅れてしまうこともあるため、費用とのバランスを見て決めることが重要です。
SLAの水準そのものは契約ごとに異なりますが、それを裏付ける体制があるかどうかも確認しておきたいポイントです。Wurは東証グロース上場のハイブリッドテクノロジーズの連結子会社であり、エアトリグループにも属しています。品質面ではISO9001・ISO/IEC27001を取得済みで、ソフトウェアテストの国際資格認定団体であるISTQBのPlatinum Partnerでもあります。こうした体制面の裏付けは、SLAの具体的な数値を保証するものではありませんが、「安心して任せられるかどうか」を判断する材料の一つになります。
保守費用を抑えるための考え方
開発段階から保守を見据えた設計にする
保守費用は、実は開発が終わった後ではなく、開発している最中にほぼ決まっています。ドキュメントを整備し、シンプルな設計を心がけることで、後々の保守がしやすくなり、結果として費用も抑えられます。Wurの開発フローでは、要件定義の段階から「この機能は将来どう変更されそうか」を想定しながら設計を進めることを意識しています。
ラボ型契約で柔軟に保守体制を組む
ラボ型契約(準委任契約)は、成果物単位ではなく稼働時間・チーム体制に対して契約する形態です。保守は障害対応から軽微な仕様変更まで幅が広いため、都度見積もりが発生する契約より、ラボ型で柔軟に対応できる体制の方が結果的にコストが読みやすくなるケースが多くあります。
参考までに、Wurが提供している稼働ベースの契約には次のようなものがあります。これらは保守専用のプランではなく新規開発・技術顧問向けの料金体系ですが、「稼働時間・チーム体制に対して契約する」という考え方は保守運用とも相性が良いため、契約形態を検討する際のイメージとして紹介します。
| サービス | 料金目安 | 契約期間の目安 |
|---|---|---|
| 月額制ラボ型開発 | 210万円/月〜 | 最短3ヶ月〜 |
| シェアリングCTO(登録商標) | 15万円/月〜 | 3ヶ月〜継続 |
このように、継続的な稼働が必要な業務に対しては、月単位でチーム体制を確保する契約の方が、都度見積もりより柔軟に動きやすい場合があります。保守会社を選ぶ際も、自社の保守ニーズが「スポット対応中心」なのか「継続的な改善も含む」のかによって、向いている契約形態は変わってきます。
小さく始めて拡張する
システムを最初から全機能盛り込みで作ってしまうと、保守すべき範囲も最初から広くなります。必要最低限の機能から始めて、利用状況を見ながら拡張していく進め方は、保守すべき範囲を段階的に広げていくことにつながり、結果として保守費用のコントロールにも有効です。新しくシステムを作り直す、あるいは古いシステムをリプレイスするかどうかの判断に迷う場合は、Wurが無料で提供しているAI事業診断(約3分・6問回答)を使うと、概算費用やスケジュール感、活用できる補助金候補(デジタル化・AI導入補助金、ものづくり補助金など)を含んだレポートを確認できます。契約や購入の義務はないため、保守を続けるべきか作り直すべきかを考える際の一次情報として活用できます。
保守契約前に確認したいこと
保守会社と契約する前に、以下の項目を確認しておくと後々のトラブルを防げます。スコープ(対応範囲)を事前にすり合わせておくという考え方は、新規開発における進め方とも共通しています。Wurでは無料相談でヒアリングを行った上で課題を構造化し、進め方と概算費用を提示してからスコープを確定するという順番を大事にしていますが、これは保守契約を結ぶ際にも応用できる考え方です。
- 障害発生時の対応時間(SLA)は明記されているか
- 軽微な仕様変更は保守費用に含まれるか、別途費用が発生するか
- セキュリティアップデートの頻度と範囲は決まっているか
- ドキュメント(仕様書・設計書)は引き継がれる形になっているか
- 契約は成果物単位か、稼働時間単位(ラボ型)か
まとめ
システム保守費用の相場は、一般的に初期開発費の年間5〜15%程度が目安とされますが、システムの規模や技術的負債の有無、求められるSLAの水準、開発・保守を担う体制によって大きく変動します。保守費用は開発が終わってから決まるのではなく、開発段階の設計品質に左右される部分が大きいという点も、ぜひ覚えておいてください。新規事業支援の現場では、目先の開発費だけでなく、リリース後の保守運用まで見据えて設計することが、ユーザーのバーニングニーズ(今すぐ解決したいと感じている切迫した課題)に応え続けるプロダクトづくりの鍵になると考えています。
まずはWurの無料AI事業診断(約3分・6問に回答するだけ)で、次に取るべきアクションを整理してみてください。
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