「MVPを作りたいけど、どのくらいの費用がかかるの?」
新規事業を検討している経営者や担当者から、最も多くいただく質問のひとつです。
MVP(Minimum Viable Product:必要最低限の機能を持つ製品)の開発費用は、正直なところ「規模と要件次第」でまったく変わります。しかし、相場感がまったくわからない状態では、見積もりを受け取っても高いのか安いのかすら判断できません。
この記事では、Wurが実際に手がけてきたMVP開発の事例をもとに、種類別・規模別の費用目安と、費用を適切にコントロールするためのポイントを解説します。
MVP開発とは?なぜ重要なのか
MVPとは、「ユーザーに届けられる最小限の機能だけを持つプロダクト」のことです。
新規事業において、最初から完璧なプロダクトを作ろうとすると、膨大な時間と費用がかかります。しかも、完成してみたら「誰も使わなかった」というリスクが常にあります。
MVPの考え方は、このリスクを最小化するためのものです。
- まず最小限の機能で市場に出す
- ユーザーの反応を見て仮説を検証する
- 結果をもとに改善・機能追加を行う
このサイクルを素早く回すことで、失敗のコストを最小化しながら事業を成長させることができます。
MVP開発の費用相場【種類別】
1. Webアプリ・WebサービスのMVP
Webブラウザで動くサービスのMVP開発です。スマホアプリより開発コストを抑えやすく、スピードも出やすいため、最初のMVPとして最も選ばれる形式です。
| 規模 | 機能の目安 | 費用目安 | 開発期間目安 |
|---|---|---|---|
| 小規模 | 会員登録・ログイン・基本CRUD・管理画面 | 150〜300万円 | 1〜2ヶ月 |
| 中規模 | 検索・マッチング・決済・通知機能 | 300〜600万円 | 2〜4ヶ月 |
| 大規模 | BtoB SaaS・複数ロール・外部API連携 | 600〜1,200万円 | 3〜6ヶ月 |
Wurの目安(AI活用フロー利用時)
通常より20〜40%のコスト削減・スピードアップが実現できています。
2. スマホアプリ(iOS / Android)のMVP
スマホアプリはWebアプリより開発コストが高くなる傾向があります。特にiOSとAndroid両方に対応する場合は費用が増加します。\
| 規模 | 機能の目安 | 費用目安 | 開発期間目安 |
|---|---|---|---|
| 小規模(どちらか1OS) | プッシュ通知・基本機能のみ | 200〜400万円 | 2〜3ヶ月 |
| 中規模(両OS対応) | マップ・カメラ・決済・チャット | 500〜900万円 | 3〜5ヶ月 |
| 大規模 | 複数ロール・リアルタイム機能・外部連携 | 900〜1,500万円以上 | 5〜8ヶ月 |
3. BtoB SaaSのMVP
法人向けSaaSは、管理機能・権限設計・請求管理など、BtoC向けアプリよりも設計が複雑になります。その分、開発費用も高くなる傾向があります。
| 規模 | 機能の目安 | 費用目安 | 開発期間目安 |
|---|---|---|---|
| 軽量SaaS | 単機能・小規模チーム向け | 300〜600万円 | 2〜4ヶ月 |
| 本格SaaS | 複数機能・権限管理・CSV出力 | 600〜1,200万円 | 4〜6ヶ月 |
| エンタープライズSaaS | 外部システム連携・SSO・監査ログ | 1,200万円〜 | 6ヶ月〜 |
Wurの実績: 経営管理SaaS「GYAKUSAN」(株式会社ギャクサン)など、BtoB SaaSのMVP〜本開発まで一気通貫で支援した実績があります。
4. マッチングプラットフォームのMVP
マッチングサービスは「供給側」と「需要側」の両方のUIとロジックが必要なため、一般的なWebアプリより複雑度が高い開発になります。
| 規模 | 費用目安 | 開発期間目安 |
|---|---|---|
| 簡易マッチング(検索・問い合わせのみ) | 300〜500万円 | 2〜3ヶ月 |
| 本格マッチング(メッセージ・決済・レビュー) | 600〜1,200万円 | 4〜6ヶ月 |
MVP開発の費用を決める主な要因
費用は「何を作るか」だけでなく、以下の要因でも大きく変わります。
① 機能の数と複雑さ
当然ですが、機能が多ければ多いほど費用は上がります。MVPにおいて最も重要なのは、「この機能は本当にMVPに必要か?」を問い続けることです。
よくある落とし穴として、「せっかく作るなら…」と機能を追加し続け、MVPがいつの間にか「フル機能プロダクト」になってしまうケースがあります。これをスコープクリープと呼びます。
② デザインの品質
- ワイヤーフレームレベル(プロトタイプ):検証目的の最小限のUI
- 標準的なUIデザイン:実際のユーザーに触れてもらえる品質
- ブランドデザイン込み:デザイン戦略・ビジュアルアイデンティティまで含む
検証目的のMVPであれば、最初から高品質なデザインは不要です。段階的に品質を上げていくのが費用対効果の高いアプローチです。
③ 開発会社の料金体系と体制
- オフショア活用あり:国内のみの開発と比較して30〜50%コストダウンが可能
- ラボ型(月額制):初期費用を抑えてスモールスタートできる
- 一括受託:要件を固めてから一括で開発する
Wurでは、ベトナムのオフショア拠点と国内チームを組み合わせることで、品質を維持しながらコストを抑えた開発を実現しています。
④ AIを活用するかどうか
2025〜2026年以降、AI活用による開発コスト削減と開発スピードの向上が現実のものになっています。Wurでは特にClaude Codeを活用した開発フローを構築しており、以下のような効果が出ています。
- フロントエンド実装コストの削減(30〜50%)
- 上流フェーズ(要件定義・設計書作成)の工数削減
- プロトタイプの高速作成(従来の1/3〜1/5のスピード)
「安い見積もり」が実は高くつく理由
MVP開発の見積もりを複数社から取ると、価格に大きな差が出ることがよくあります。一番安い会社を選ぶのが正解に見えますが、実際にはそうなりません。
よくある追加コストのトラップ
| 項目 | 発生タイミング | 相場 |
|---|---|---|
| 仕様変更対応費 | 開発中に要件が変わった時 | 変更ごとに10〜50万円 |
| バグ修正費 | 納品後の不具合発生時 | 保守契約がないと都度請求 |
| 追加機能開発費 | 「やっぱりこの機能も欲しい」 | 見積もり外で高額になりがち |
| インフラ設計のやり直し | 拡張性を考慮していなかった場合 | 数百万円規模になることも |
安い開発会社が「言われたことだけ作る」タイプだった場合、これらの追加コストが積み重なり、結果として高くつくケースが非常に多いです。
補助金を使ってMVP開発コストを大幅に削減する
MVP開発にかかる費用の一部を、公的な補助金で賄えることがあります。うまく活用すれば、実質的なキャッシュアウトを半額以下に抑えることも可能です。
主なものを3つ紹介します。
① デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)
2026年度より名称変更。中小企業・小規模事業者が対象で、最大450万円の補助が受けられます。1次申請締切は2026年5月12日(通常枠)。
② ものづくり補助金
革新的な製品・サービス開発が対象。最大4,000万円(従業員規模により異なる)。2026年は第23次公募が実施中(締切:2026年5月8日)。なお、2026年度後半は「新事業進出・ものづくり補助金」として統合・再編される予定です。
③ 新事業進出補助金
既存事業とは異なる新市場への進出が対象。最大9,000万円。2026年度以降はものづくり補助金と統合予定。
※補助金の要件・スケジュールは変更になる場合があります。詳細は各補助金の公式サイトをご確認ください。
MVP開発の費用対効果を最大化するための5つのポイント
1. 上流フェーズに投資する
開発着手前の「何を作るか」の設計にきちんと投資することが、最もコストパフォーマンスの高い判断です。仕様が曖昧なまま開発を始めると、後から膨大なやり直しコストが発生します。
2. MVPの範囲を厳密に絞る
「これも欲しい」「あれも入れたい」という衝動をいかに抑えられるかが、MVP開発成功の鍵です。機能の優先順位を「Must / Should / Want」に分類し、Mustだけで最初のMVPを作ることを徹底してください。
3. AIを活用した開発フローを選ぶ
2026年現在、AI活用の開発フローを持つ会社を選ぶことで、同じクオリティをより早く・安く実現できます。Wurでは、Claude Codeを中心とした独自の開発フローにより、従来より大幅に短いサイクルでのMVP開発を実現しています。
4. 月額ラボ型で初期費用を分散させる
初期の一括費用を抑えたい場合、月額固定のラボ型開発を活用することでスモールスタートが可能です。Wurでは月額制ラボ型開発を提供しており、予算に合わせて開発規模を調整できます。
5. 補助金の申請タイミングを逆算する
補助金は「交付決定前に発注・支払いをした費用は対象外」というルールがあります。補助金を活用したい場合は、開発会社に相談する前に補助金の申請スケジュールを確認することが必須です。
まとめ:MVP開発の費用は「何を・誰と・どう作るか」で決まる
MVP開発の費用を一言でまとめると「規模と目的によって数十万円〜数千万円と幅がある」のが正直なところです。
ただし、重要なのは「安く作ること」ではなく、「最小限のコストで最大限の仮説検証ができること」です。
Wurでは、AI活用の高速開発フローとオフショア拠点の活用により、品質を落とさずにMVP開発コストを最適化するご提案が可能です。
まずは「どんなものを作りたいか」をざっくりお聞かせいただくだけで、費用感のご提示と最適な開発プランのご提案ができます。
FAQ(よくある質問)
A. Wurの場合、上流フェーズ込みで最短2〜3ヶ月でMVPのリリースが可能です。AI活用の開発フローにより、従来型の開発と比べて大幅に短縮されています。
A. ご相談いただけます。予算に応じてMVPの範囲を設計することが可能です。また補助金の活用や月額ラボ型での対応により、初期費用を抑えたスタートも検討できます。
A. 新規事業のMVP開発においては、「言われたことを作るだけ」ではなく「事業の成功を一緒に考えてくれるか」が最も重要なポイントです。実績の質と、初回ヒアリングでの提案内容を比較することをお勧めします。
A. 可能です。デジタル化・AI導入補助金やものづくり補助金など、MVP開発費用に適用できる補助金が複数あります。ただし申請タイミングに注意が必要なため、開発検討と並行して補助金の相談も早めに行うことをお勧めします。
A. Wurでは、ベトナムのオフショア拠点との連携において、クライアントとの窓口は必ず日本語で対応しています。品質管理も国内チームが担うため、言語の壁や品質リスクを最小化した体制を整えています。
この記事を書いた人
Wur株式会社 代表取締役 閏間 莉央
シリコンバレー留学をきっかけにIT業界へ。エンジニアとしてキャリアを積んだ後、大手企業の新規事業開発・スタートアップCTOを経てWur株式会社を創業。エアトリグループ傘下として、スタートアップから大手企業まで幅広いMVP・新規事業開発を支援している。
